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中高 おかえりなさい!武善先生!! ~学内向け「南極・南極観測隊講座」編~ 

今回は、南極から帰られた武善先生を取材させていただきました。
中高の生徒に向けて7月19日にメディアルームにて「南極・南極観測隊講座」第1回が開講されました。南極での体験、感想をお聞かせいただき、生徒達へその想いを語る武善先生の姿をご紹介致します。

帰国後初の南極の講座を希望者の生徒に行ってくださいました。ライブ配信の南極授業ではちょっぴり話しづらい裏話や、観測隊に行くまでの訓練の様子、南極に向かう船上生活や南極でしか味わえない体験を350枚ものスライドを交えながらお話してくださいました。今年度から入学した新1年生もいて、興味津々に聞いていました。

時系列順に出発前訓練 ➡ しらせ往路 ➡ 昭和基地・南極野外 ➡ しらせ復路について。

また、しらせでの衣食住といった生活のこと・自衛隊のこと・南極の自然のこと・昭和基地での生活についてなどについて、QRコードを読み込んでSlidoからの質問を受け付けながらお話をしてくださいました。

以下に講座の一部を紹介します。

≪ 冬期総合訓練 ≫

実際に南極に行く前に、南極での過酷な環境に適応できるよう、日本の冬山(長野県)で宿泊訓練がおこなわれます。

クレバス脱出訓練や雪山でのテント泊訓練、辺り一面雪景色の中でも自分の位置を正確に知り目的地まで行けるように考える訓練などもあるそうです。

≪ 往路 しらせ ≫

新型コロナウイルス対策のため二週間の隔離期間を経て、いよいよ11月10日に南極観測船しらせに乗り込み出発!長い船上生活の始まりです。
船の中での食事をはじめとした生活の様子などを紹介してくださいました。お風呂やトイレは海水を使用していたそうです。

11月17日、赤道通過。赤道祭で航行の無事を祈りました。
12月1日、南緯55度通過。いよいよ南極です!オーロラが見えたり、ペンギンの姿が確認できるようになりました。

ラミング航行といって砕氷船で後ろに下がり全速力で氷にぶつかり氷を砕いて進み南極大陸を目指します。動画でその様子を見せてくださいましたが、すごい迫力でした。今回はなんと610回おこなったそうですが、過去には3000回行ったり、それでも接岸できず、ヘリコプターで基地を目指したこともあるとのことです。

12月19日、南極昭和基地沖に接岸となり、昭和基地での生活が始まりました。

日本の基地はこのような過酷な航路でたどり着きますが、実は南極大陸は旅行でも行けるくらい行きやすい場所もあるとのことでした。

(南極海に漂泊中のしらせ)

≪ 昭和基地・南極での野外活動 ≫

南極は雪や氷の世界だと思っていましたが、実は大地(土)が沢山ある場所だと写真をみせてもらい驚きました。大陸内での活動のための移動はヘリコプターで、離陸時の土埃がすごくて耳に入ったり大変だったとの裏話がありました。

基地には、様々な職種の人がいて、色んな職種の人たちと昭和基地設営支援といって労働をするそうです。小屋を壊したり、大量のドラム缶を開けたりとかなりの重労働でした。極寒の中で重労働を行なうため、一日5食の生活をしたり、日焼け対策でこまめに日焼け止めを塗りなおしが必要だったとのことでした。

自分の専門の仕事だけをしているわけではないんですね。
また、武善先生の大好きなペンギンも沢山近くで見ることもできたそうですが、同時に自然の厳しさを目の当たりにした場面もあったそうです。詳しくはアンケート編をごらんください。

(国立極地研究所パンフレットより)

 ≪ 復路 ≫

往路よりも長い帰路なので気持ちもゆったりと過ごせたそうです。自衛隊員の方に数学を教えたり、けん玉検定を取得したりして過ごしたそうです。

海上自衛隊で毎週金曜日のお昼にカレーライスが食べられている習慣がありますが、帰国までにあと何回カレーを食べる「カレーンダー」があったりしたそうです。

在庫不足で自動販売機の欠品があったり、野菜も不足するのでカイワレ大根を栽培したりとほっこりするような、実際に行ってみないとわからないエピソードがたくさんありました。

≪ ブレイクタイム ≫

南極より持ち帰った“南極の氷”を見せてもらいました。お水を入れると、パチパチと炭酸がはじけるような音がします。実はこれ、何万年前の空気が出てくる音だそうです。神秘的ですね。昭和基地ではこの南極の氷でお酒をいただいたそうですよ。

本日はメディアルームに展示がありましたが、通常は小学校の子ども達も見られるように、小学校棟と中高棟の間、中高の図書館の前に先生が南極で撮られたお写真や、南極で着られた洋服、実験された事や、南極に関する本など色々と展示して下さっています。

学校にいらした際には是非お立ち寄りいただきたいと思います。

≪ 生徒さんからの感想 ≫

・とにかく全てが面白かったです。「カレーンダー」やアデリーペンギンとコウテイペンギンの行進やアザラシのミイラなど興味深いお話が沢山ありました。とくに、南極の氷を南極の水で溶かして音を聞いたことは、貴重な経験でした。本当に一生思い出に残る体験になったと思います。

・南極についてのイメージがあまりなかったので、しらせの船内や基地の様子などの南極への道のりや生活についてや、参考になるアニメも知れてとてもおもしろかったです。

・南極授業を受けて、一番驚いたのは、南極大陸は氷山しかないものだと思っていたのが、本当は、陸地の場所があって、日本と同じように工事ができるような環境があったことです。南極に行くだけでも一苦労なのに、そこで、労働することは結構きつそうに感じました。でも、それ以上に南極での景色の美しさが、写真を通して、伝わってきたので、やっぱり南極は神秘的な場所なんだな?と思いました。行きたくはありませんが………(笑)

・裏話のような、実際に行かないとわからない話が聞けておもしろかった。とても興味深かった。

・沢山の写真や動画を使ったスライドや現物を見せてもらいながらの講座で、とても興味深くいろんなエピソードが聞けて、本当に楽しかったです。

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武善先生、貴重な体験のお話を本当にありがとうございました。

南極授業ライブ配信のアーカイブが日出学園の公式YouTubeチャンネルに残っていますので、是非ご覧ください。

また、日出学園中学校高等学校のホームページ、『第63次南極地域観測隊教員南極派遣プログラム教員派遣ブログ』より当時の様子を伺うことができます。お時間ありましたら、過去のひので会ブログ【中高 武善先生、南極へ】【中高 南極授業】の記事も併せて是非ご覧ください。